2006年4月13日

すらりんP、夜を往く。

――湾岸沿い、高速の高架の下、暗い闇を行く一つの影。

彼はある施設に向かって歩を進めていた。
時間は22時半を回ろうかと言うところだった。

脇目も振らず、ただ前へ、夜を往く――。

‥‥実際はそんな格好の良いモノではなかったりするのだが‥‥。

遠征中のこと、ある港湾地域のナムコ直営店に行ってみようと思い、夜遅く、歩いていたのだ。
その店舗は直営店の中でもアイマスに力を入れているので、かねてより是非行って、足跡を残してきたいと思っていた。

もともとアイマスが目的の旅ではなかったので、他の用事で時間が削られ、遅い時間に歩いて行く羽目になってしまったのだ。何度か車で店の前を通っているのだが、その周辺を徒歩で移動したことも無かったので、距離感については正直甘く見ていた。

街中から怪しげな気配の駅裏を抜け、国道から工場と倉庫とトラックの車庫だけがある道にさしかかると、歩いている奇特なニンゲンは他にいない。

頭上には高速の高架と歩行者には明るくないオレンジ色の照明だけが見え、星は見えない。
途中渡った海に程近い川は、オレンジ色の照明が当たる部分だけはその光を反射して、それ以外は真っ黒い流れだった。

‥‥ほとんど使われない工場用の駅、資材置き場、空き地、高架の太い柱の影、人が打ち棄てられてもそうは気づかれないような草むら‥‥まさに、不気味・オン・パレード。

「ワンワンワン!」
あわわわわ、いぬ~~~~。
はうはうはうはうはう~~~。
タクシーにしとけば良かった~~~。

恐怖と後悔が頭の中でグルグル回る。
「タクシーでゲーセンに乗りつけるなんてちょっと恥ずかしいナ~」と浅はかだった少し前の自分に「オレノバカ」と呪いの言葉を吐きつつ、おずおずと夜道を進む。

どれくらい歩いただろうか、ようやく癒しの微笑みをたたえる目的地が見えてきた。
はぁ、た・たすかた~~~~。
目的を果たし、コミュノートに足跡を記して店を出た‥‥。

だが、0時近くに車しか通らない道を再び歩かねばならないことを思い出し、再び、恐怖がよみがえる。

はうはうはうはう‥‥。

あ、コンビニ脇になんだか「いや~んなムード」を醸し出す一団(恐慌状態なのでなんでも悪く思える)も、たむろしているではあ~りませんか。ううぅ‥‥。

それでも、こそこそ進むと、道の途中から歩道と高架とが分かれて、歩道は下、高架が上の立体交差。車道の下に設けられた暗闇のトンネルをくぐるのだが、そこで恐怖はピークに。
ああああぁぁぁ、もうあかん。

歩道と車道が分かれるところに引き返して、タクシーを待つことにした。
引き返しているタイミングで2台のタクシーが上を通り過ぎる姿が僅かに見えたので、待てばすぐにタクシーが来ると思っていたが、こちらが交差点に戻ると、今度は待てども待てどもタクシーが来ない。

‥‥ココにタクシーは永久に来ないのではないだろうかと思えるほどの時間(実際は15分ほどなのだが)が経過した後、一台のタクシーが近づいてきた。

「あぁ~~神の使いだ~~」

そのタクシーを逃さないように必死にアピールする俺。
アイマスのアピールより必死だった。

‥‥ようやく乗り込んだ暖かな車内でほっとしていると、運転手が話し掛けてきた。

「こんな遅くまで、お仕事ですか?」
「‥‥は、はぁ‥‥。」

‥‥「ゲーセンです」だなんて、とても言えなかった‥‥。

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